ストーリー裏話
(●ネタばれ:はマウスで反転させると読めます)

第31話:誤算

夕方お金を1人で持って来たジャンは待ち構えていたテナルディエ達に捕まってしまった。
マリユスは銃を片手に警官隊に合図を送るタイミングを壁の穴から伺っていた。
「オレを覚えているだろう」
「八年前お前がコゼットを連れ去ったモンフェルメイユのテナルディエだよ!」
ジャンに向けられたテナルディエの発言に愕然とするマリユス。
警察に売り渡そうとしている男が父の命の恩人だったのだ。
今合図を送れば警官隊によってコゼットの父親は助けられる。
しかし同時に父の恩人を警察に売り渡すことになる――決断に迷うマリユス。
テナルディエはジャンにコゼットに金を持ってこさせようとするが、ジャンは自ら縄を切り、脅しには屈しないと言い切る。
一瞬ひるむテナルディエ。
が、すぐに全員でジャンに襲い掛かった。そこに突然ジャベール率いる警察隊が踏み込んできたのだった。

怪力男ジャン・バルジャン。後ろ手に縛られた縄を引きちぎっての大立ち回り。実際はどこかにこすり合わせて切ったか、囚人時代に間接外しわざでも会得したか――さすがに引きちぎることはできないでしょうね。
テナルディエのことを意中の女性の父親を危険にさらす悪党としか見ていなかったマリユス。彼を逮捕する全ての算段を立ててあとは実行に移すのみだったのに、意外な展開。目に映るその姿は悪党そのもの。しかし尊敬する父の遺言は無視できない。でもこのままでは好きな女性の父親が……悩みまくるマリユス。ここでジャンを助けることで好印象を売ってコゼットに近づく――なんて計算をしていたわけではないでしょうが、このときのマリユスにとってジャンの命は父の遺言と天秤にかけられる程度のものでしかなかったようです。
それにしてもテナルディエとマリユスの父ジョルジュ・ポンメルシーとの間になにがあったのか?まだまだ引っ張ります。(――いや、次回で明かされます)


●ひとり言:》パリの悪党の代表であるパトロン・ミネット。テナルディエととこでどうつながったのかは知りません。このマンガではその名前すら出てきませんし……原作では当時のパリを風刺する重要な要素だったのでしょうが、私の知ったこっちゃありません。単行本ならともかく毎週2ページずつの連載です。そんな設定の説明で本編から脱線するゆとりないッス。登場人物一人一人の人間性を掘り下げられない時点で“レ・ミゼラブル”という原題でなくした理由をお判り頂けると思います……

第32話:めぐる季節

テナルディエ達はジャベールに取り押さえられるが、ジャンはその隙に窓から逃亡する。
証人になるはずの被害者が姿をくらましたことで、彼こそが大物であったことを悟り舌打ちするジャベール。

マリユスは探していた父の恩人があんな犯罪者であり、自分が逮捕に追いやったことに落ち込む。
彼は部屋を引き払い、ABCの仲間の部屋に転がり込んでいた。

テナルディエ一味は留置場で冬を越すこととなった。
ところで何故テナルディエがマリユスの父の恩人なのだろうか?
事はワーテルローの戦いにさかのぼる。
累々と横たわる兵士の死体から金品を漁っていたテナルディエがたまmたま死体と思って瓦礫の下から引きずり出した将校がマリユスの父だったのだ。意識を取り戻した将校に慌てたテナルディエは軍曹だと言って救助隊員のふりをしたのだった。経緯はともかく命の恩人には違いなかったのだ――

いつしか季節は春になろうとしていた

公園にたたずむマリユス。そこへエポニーヌがやって来た。
コゼットの居所がわかったのだ――。

ジャベールとニアミスで辛くも逃げ切ったジャン。主役なのに今回も出番がありません。(落としていった帽子だけ……)再び彼にスポットが当たるのはいつの日か?まさに「ああ無情」状態……
読者の方から「次どうなるの?」みたいなこと訊かれるとほんと心苦しいです。特に前回の終り方があんなんだったから、今回かなり期待度が高かったとか……それがいきなり決着ついててもう次のエピソードへ移行しちゃってますからね(^^;)。
全ては2ページ連載のせいです。(泣)
ようやくテナルディエとマリユスの父ジョルジュ・ポンメルシーとの関係が明かされました。もっと早くにこのエピソードを入れたかったのですが、登場人物が立て込んでいる上にストーリーの展開上ここでしかページを避けませんでした。とりあえずテナルディエに借りがあるらしいことさえ念頭に入れていただけていれば、支障はないかとも思いまして……。


●ひとり言:》今回のタイトルはちょっと違うかな――って気がしてます。とりあえず事件が起きたのが冬のことで、マリユスとコゼットが再会するのが春先のことだったのとクライマックスの6月革命に年代をあわせる必要性を意識しすぎ、タイトルが先走った状態です。なんだかこのタイトル「全てが一件落着したその後」みたいなエピソードにつけるタイトルでしたね。ちょっと反省。


第33話:春のそよ風とともに……

ジャンとコゼットはプリュメ通りの邸宅跡に家政婦と三人で暮らしていた。
王政時には社交界の盛んな貴族階級の邸宅が建ち並んでいたこの界隈は今ではかえって人気のない絶好の隠れ家となっていた。
ジャンは日に日に美しくなっていくコゼットを見て不安にならずにいられなかったが、すでに彼女が恋をしているとは夢にも思わなかった。

コゼットもまたマリユスに恋をしていたのだ。
ある日ジャンが散歩に誘うが、コゼットは家で留守番すると言い出した。
実はこれには理由があり、この数日彼女はどこからか自分に向けられる視線と気配を感じ取っていたのだ。
姿は見えないがそれが危険なものだとは到底思えないでいたのだが、今朝方いつものように中庭に出てみるとベンチの上に小石にはさまれた手紙が置いてあるのが目に付いた。その手紙には愛について抽象的なことが書かれていただけだったが、その差出人が街角で出会った青年(マリユス)であると確信したのだ。
背後から姿を現すマリユス。

ずっと君を探していたんだ……
初めて街角で出会ったときから――

――私もお待ちしていました……

二人はそっと口付けを交わした後、互いの名を尋ねあった――。。

恐るべし恋する乙女。
姿なき人の気配と謎の手紙からマリユスを想像するとは!――ていうか、マリユスほとんどストーカーですね。
原作を読まずに解説書を参考に描いているので、「マジでこんな告白手順だったん?」とクビをかしげてしまいます。
――まぁ本来二人は公園で互いを見かけたのをきっかけに毎日互いに視線を送り合っており、それに気付いたジャンが公園に行くのを止め、引越しまでして二人を引き離したいきさつがあります。(ページの都合で出会いをベタなものに割愛したツケがここで来ちまいましたネ)
この二人の恋の描写は原作者ユゴーと妻アデールの恋をほぼなぞっていると言われていますが、この二人は幼馴染だったらしいので問題なかったのでしょう。
それにしても口づけを交わしてから名を名乗るなんて、いかにもフランスっぽいというか気持ちが先走っているのがわかりますね。



第34話:もう一つの恋

コゼットとマリユスのデートは連日に及んだ。
それを寂しそうに見守るエポニーヌ。
エポニーヌはマリユスに恋をしていたのだ。
エポニーヌはその姿を遠くから見つめるしかなかった。
そこには愛しい男の笑顔がある。でもその笑顔が向けられるのは自分ではない。
かつて自分がいじめてきたコゼットなのだ。
いつしか立場の逆転している彼女と自分をどうすることもなく比較していた。

そこに脱走してきたテナルディエ達が現れ、バルジャンの屋敷を襲おうとする。
必死に止めようとするエポニーヌ。
ここは獰猛な番犬がいるんだ、やめときな。
コゼットをかばったのではない。マリユスを悲しませたくなかったのだ。

今回の主役はエポニーヌです。このところ本当にジャンの影が薄くなってきて、トレンディードラマでも始める気か状態ですが、私自身どうしたらよいか困ってます(爆)。今後のストーリー展開を考えるとそれぞれの人物設定を明確にしなくてはならないし、一度当時の社会情勢を明確に紹介する必要もあります。両方同時に詰め込むと二ページで収まらないし、片方だけにすると話がストップしてしまいます。なんとかならないもんかねぇ……

●ひとり言:》エポニーヌは本当にいい役どころというか、ミュージカルでもコゼットよりおいしい位置にいます。彼女が善人だったわけではなく、マリユスへの想いの純粋さゆえではないでしょうか。マリユスに喜んで欲しくてコゼットの居場所を教える――普通ならシラを切って絶対教えないところでしょうが、それが唯一マリユスに話し掛けることができる口実だったわけですし。テナルディエが襲撃しようとするのを止めたのも、そこにマリユスが居合わせていたからでしょう。また、前回の襲撃事件からしてマリユスから二人の居場所については口止めされていたかもしれません。そうでなければ喜んで襲撃の一部始終を見ていたかもしれません。――これで二人の関係は終りだ。私にもチャンスが回ってくる――と。次回からその片鱗が見えてきます。

第35話:嵐の予兆

一八三二年
パリ市内の情勢は悪化の一途をたどっていた
景気の低迷で鬱積していた民衆の不満にコレラの流行が追い討ちをかけ蜂起の噂と共に各地で武器の調達が横行していたのだ。
ABCの会メンバーの間でも……

エポニーヌにとってマリユスとコゼットの交際は辛い現実であった
悪党の親のもと極貧生活を強いられてきた彼女にとってマリユスは唯一の希望だったのだ
エポニーヌがマリユスを探しに土手を通りかかったとき、一人物思いにふけるジャンを見つけた。
ジャンは不穏な情勢に警察が警戒を強め始めたことを危惧し、イギリスへの逃亡を考えていたのだ。
そうとは知らぬエポニーヌが住居をテナルディエに狙われていることを知らせるためジャンに警告のメモを投げつけたため、ジャンは警察にばれたと早合点してイギリスへの移住を決断する。
移住にあたって当面の隠れ場所としてロ=マルメ通りの別邸に急遽引っ越すことを告げられたコゼットは、マリユスへの書置きを中庭のベンチに残すのだが、そこに現れたのはエポニーヌだった。
マリユス宛の書置きを握り締めるエポニーヌの真意は……。


今回もエポニーヌの視点で物語りは進行します。いつも執筆は仕事を終えた土日の夜しているのですが、今回職場で釣りしに大島まで行ってきましてスケジュールを圧迫してしまいました。帰りの船の中、縛穂状状態の仲間を横目に下絵を描きまくってました。波に三半規管をもてあそばれながらモノを描くってのはほとんど自殺行為ですね。

●ひとり言:》原作を知らない私は当初エポニーヌがジャンに『引越しな』というメモを投げつけたのは、コゼットに嫉妬しマリユスとの仲を裂くためだと思っていまして、そのつもりで描いてました。
しかし、マリユスを悲しませたくない、喜んで欲しいと願って行動してきたエポニーヌがはたしてそういう行動に出るのだろうか今ひとつ釈然としませんでした。そこで時系列的に観て、ジャンにメモを投げつけたのは単にテナルディエたちへの警戒を促すためであって、それ以上ではなかったのではないか。それがイギリス移住と暴動の気配とが重なって……おっと。ここからはネタバレの領域ですね。


第36話:急転

ジャンがコゼットを連れ屋敷を移ったこの日、ある人物の葬儀が行われていた。
ナポレオンの腹心で王党派政権下で最後まで奮闘しつづけた自由派代議士。ラマルク将軍の葬儀である。
彼の葬儀を王党派政権の手による国葬で行われることが知れると過激共和派の反感は頂点に達した。

ラマルクをパンテオンに。
ラファイエットを市役所に!

民衆からの声が大きくなる中、葬列は徐々に人垣によって包囲されていった。
ついに警護の兵と民衆は衝突し、銃声がパリの街に木霊した。
――後に言う6月暴動の始まりである。

一時間も経たぬうちにパリのいたるところにバリケードが築かれ、その中の一つにはABCの友のメンバーの姿があった。
ABCとは初等教育を挿し表向きは学術研究グループを装っていたが、実態は弱者救済を目指した共和主義グループだったのだ。

そのころマリユスはコゼットの去った後の中庭で力なくうなだれていた。
そこへエポニーヌが現れて彼を仲間の待つバリケードへと誘うのだった。
彼女ははコゼットの書置きをマリユスに渡そうとはしなかった。

どうせ振り向いてもらえないのなら、いっそ……

エポニーヌはマリユスと共にバリケードで死ぬつもりなのだ――


いよいよ物語も佳境に入ってきました。舞台は実際に起きた6月暴動へ。『ジャンバルジャン物語』という副題が付いていながら今回も出番なしのジャン。連載開始当初はこのレ・ミゼラブルをジャンの視点からのみ描いてみようかな。などとちらっと考えていたのですが、それがあまりにも無謀な発想であったことはもう明白ですね。(ストーリーを全て把握していたら挑戦してたかも。――て、未だに把握できてないんかい)

●ひとり言:》エポニーヌにとってコゼットの書置きは予想外の展開だったのでしょう。マリユスがコゼットの引越しを知らない現状。それに加えて彼の仲間であるABCの友の暴動参加。。これらの状況が彼女にこんな決断をさせたのかもしれませんね。(それとも確信犯?)

第37話:バリケード

バリケードでは叛徒と国軍の睨み合いが続いていた
自然発生的に集まった叛徒たちは互いに顔見知りな訳でもないため、警察の密偵にとっては最適な活動場所となっていた。
ジャベールもまた密偵として潜伏していたのだが、彼はあまりにも顔を知られすぎていた。
柱に縛り付けられたジャベールは、バリケードが突破される二分前に処刑されることが決まった。
その場で殺さないのは彼ら叛徒の掲げる理想ゆえであった。

突然バリケードを襲う砲弾。続いて敵兵がバリケードを越えて襲撃してきた。
窮地に追いやられる叛徒たち。そこへマリユスが側面から敵兵を討ち、ついで火薬の樽に松明をかざして叫んだ。

国軍ども!バリケードごと吹き飛ばされたくなければ退け!


ちなみにバリケード(ABCの友)のリーダーはアンジョルラスと言うのですが、名前を紹介しそびれてしまい、ちょっともてあましてます。敵襲で殺されそうになっていた彼です。
そんな彼を襲う敵兵を一発で撃ち殺して登場するマリユス。いきなりかっこよすぎですが、素人がムチャクチャいい腕してますよね。銃はテナルディエがらみの事件のときにジャベールから預かったものだそうで、そのままずっと持ってたようです。当時は銃の不法携帯とか取り締まりしなかったんでしょうか?――ていうより、安易に銃を渡したジャベールの失態と違います?


第38話:死に場所として

マリユスの捨て身の行動を機に反撃に転じた叛徒は突入部隊を撃退した。
マリユスの活躍に沸く一同だったが、当のマリユスに笑顔は見られなかった――

マリユスは昨夜コゼットとの結婚の許しを得るため数年ぶりに祖父ジルノルマンの所へ会いに行っていた。
コゼットからイギリス移住の話を聞かされた彼は、結婚することでしか彼女を引き止める方法がなかったのだが、親権者の許しがないと法的に婚姻できないため、亡き父を嫌う王党派の祖父に頭を下げるほかなかったのだ。
しかし祖父の放った言葉は「コゼットを愛人にしろ」だった。
マリユスは憤慨してその場を去った――

コゼットを引き止める術を失ったマリユスに追い討ちをかけたのがコゼットの突然の失踪であった。
彼女の残した書置きをエポニーヌが隠し持っていることを知らないマリユスは絶望のどん底に落とされた。

もう生きていても仕方がない……

マリユスは死ぬつもりでバリケードに来ていたのだ――

マリユスが他のバリケードへ見回りに行こうとすると、彼の背後で何かが光った。
倒れた敵兵が最後の力を振り絞って銃口を彼に向けていたのだ。
一発の銃声と共に飛び散る鮮血。だが倒れたのはマリユスをかばったエポニーヌだった!


新年おめでとうございます。正月休みにどれだけ描きだめできるかが勝負だったのですが、仕事納めと仕事始めの区切りがなく、今年も〆切に追われる日々になりそうです。(でも今回は合併号明けだったので多少仕上がりが丁寧だったと思います)
原稿を世界日報社に届けに行ったとき、読者からの懸賞応募はがきにマンガを応援して下さる声が寄せられていることを聞かされまして、新たにやる気になった私でした。


●ネタばれ:》エポニーヌが撃たれるシーンは場面の盛り上がりを考えてミュージカルと同じようにマリユスを直接かばうかたちにしました。
だって原作だと火薬の樽めざして走るマリユスを狙った兵士の銃口を遮って打たれ、マリユスに気付かれることなく日暮れまで放置され、ようやく見つけてくれたマリユスからの第一声が『どうしたんだい?』なんて悲しすぎます。『あんたをかばって撃たれたんだってば』これじゃぁ本当に幸薄い娘で終わってしまいますね。


第39話:想いに殉じて

崩れ落ちるエポニーヌを抱きかかえるマリユス。しかし彼女の胸はみるみるうちに鮮血に染まっていった。
 渡したくなかったけど、あの世で恨まれたくないから……
エポニーヌはマリユスにコゼットの手紙を渡し、自分の想いを告げて息絶えるのだった――

ひたすらマリユスを待つことしかできないコゼット。
コゼットからの手紙を読んだマリユスではあったが、彼の決意はもう――

あらすじとしてはこれだけですね。そこに演出を加えることで2ページモノとして成立する今回のお話。
実際ここは大きな見せ場であり、エポニーヌの切ない姿が胸を打ちます。じっくりと時間をかけて描きたかったお話です。


●ネタばれ?:》さらば宇宙戦艦ヤマトを見ながら描いまして、なんだかマリユスとエポニーヌが古代進と森雪に見えてきました。『勝ってね……きっと勝ってね』なんてエポニーヌのセリフに書き込みそうになるのを抑えつつ、『愛のために死ね』状態です。
そのうちバリケードが陥落するときにはアンジョルラスがマリユスに脱出を促して篭城し『行け!行かんか――!』なんて叫ばすのもいいかも。(ストーリーが違います)


第40話:沸き出ずる思い

コゼットが自分を捨てたわけではないことを知ったマリユスだったが、バリケードを去ろうとはしなかった。
彼女のイギリス行きを阻止できない以上別離は免れぬ現実だったからだ。

ボクが死ぬことだけは知らせてておこう

マリユスは叛徒の中で最年少の少年ガブローシュを呼び出した。

その頃ジャンはイギリス行きを決断し住居を変えたことで安心し切っていたが、塞ぎ込んでいるコゼットが気がかりでならなかった。
コゼットがジャンの決めたことに反対したのは今回が初めてだったのだが、ジャンがその理由を知ったのは深夜になってからだった。
コゼットがマリユスに手紙を書いた際に使った吸取紙に逆さ文字が写ったまま残されていたのだ

愛しいあなた
父はすぐにでも
引っ越すつもりです
今晩はロ=マルメ通り7番にいます

愛しいあなた――?

それはジャンの人生の中でで最大の衝撃だった。
ジャンにとってコゼットは生涯を通じて唯一愛情を注ぎつづけた相手であり、いまやコゼットはジャンの人生そのものである。
そのコゼットの心が自分から離れ別の男に向かおうとしている。
ジャンはコゼットを失う恐怖と共に、湧き上がる相手への強い嫉妬と憎悪をどうしようもできないでいた。

落ち着こうと外に出て、うずくまるジャン。そこへある人物が――バリケードでマリユスが呼び出していたガブローシュである。

当初ここは1ページで収めるつもりでネーム割りしてたんですが、ジャンの苦悩がクローズアップできないため急遽2ページものにしちゃいました。おかげで意図不明なコマ割になってしまってただ今反省状態です。本当はコゼットのことで半狂乱になるジャンを描きたかったんですけどネ――。

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